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偉人の魂に触れる ~孟嘗君~

孟嘗君
この夏、ステイホーム中に読んだ『孟嘗君』。

紀元前の中国戦国時代、戦国四君の一人として名が残る、孟嘗君(もうしょうくん)の生涯を描いた歴史小説です。
宮城谷昌光の小説を初めて読みましたが、その力強く美しい文章が登場人物の躍動を読者に感じさせ、当時の中国の熱気がありありと伝わってきました。

主人公の田文(後の孟嘗君)は斉の宰相である田嬰の子。しかし生まれた5月5日は不吉とされ、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母が密かに逃がした赤子は不思議な縁で、好漢・風洪に育てられます。波乱に満ちた戦国時代、人として見事に生きた田文・孟嘗君と田文を取り巻く人物たちの物語です。

孟嘗君はとても人を大切にする人でした。一芸を持った食客が三千人いたと言われていることからも分かります。国同士が自国の利益のために同盟を結んでは、情勢が変わるとそれを破棄している時代、孟嘗君は人に信を求めたのでしょう。そんな田文が大いに影響を受けたのが、育ての親風洪(後の白圭)です。人に対する愛、懐の大きな魅力的な人物です。

作品中にも印象に残るセリフがあります。
「平凡と非凡とを、目にみえるかたちとして峻別するものがある。」
「それは、何ですか」
白圭は一呼吸をおいた。
「勇気だ。勇気こそ、人をわける」
「人を愛すれば、勇気が湧く。人のむこうにあるおのれを愛することを仁という。人のこちらにあるおのれを愛することは仁とはいわず、そこには勇気も生じない」

また、白圭の臨終の際、田文との会話で
「文どの、人生はたやすいな」
「そうでしょうか」
「そうよ・・・。人を助ければ、自分が助かる。それだけのことだ」
この作品を読んだ方は主人公である孟嘗君と、この風洪(白圭)にも魅了されるのではないでしょうか😊

過去の英雄の生涯に触れることで、自分の小ささを思い知らされますが、英雄体験というものは人間に志を立たせる唯一のものであると言います。今後もどんどん宮城谷作品を読んで、古代中国の偉人の魂に触れていきたいと思います!

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