心(しん) を養う
古代中国の「五行説」といわれる自然哲学には、季節ごとに養うべき“臓”が記されています。具体的には、春は「肝」・夏は「心」・土用は「脾」・秋は「肺」・冬は「腎」。よって、今の時期は「心」を養う事が大切になります。「心」は血液循環や精神活動と関係が深いとされ、機能が低下すると動悸やうつ病、気力低下、不眠などの症状がでます。
そこで、この夏を元気に乗り切るために「心」を養う“ツボ&体操&食養生”を紹介いたします。
◇心を養うツボ【労宮】
手の平の真ん中(押すと指がスポッと入る所)に心包経の「労宮」というツボがあります。ツボ名に「労」とつくように、疲労時にはこのツボに圧痛が現れます。
私はストレスで肩が凝ったり、パソコン等で手が疲れている患者さんにこのツボをよく使います。労宮からテイ鍼で気を通してあげると肩甲骨の内側(心臓の反応点)が揉まなくてもスッとやわらかくなる。とても良く効くツボです。鍼の代わりに一円玉か十円玉をテープで貼っても効果あり。私の祖母は体中に一円玉と十円玉を貼って気の流れを自分で調整していたくらいですから、皆さんも試してみてはいかがでしょうか。
◇心を養う体操【カーフレイズ】
①両足をくっつけて(つま先は閉じる)壁に向かって立ち、背筋を伸ばし、両手は壁に軽く触れます。
②息を吐きながら、ゆっくり踵(かかと)を上げて“つま先立ち”になります。この時、お尻をキュッと閉めます。
③息を吸いながら、ゆっくり踵を床に下ろします。
息を止めないよう、ゆっくり行うことがポイント。暑さで外を歩けない日などは、これを20回・1日3セット行うと全身の血流が良くなります。“ふくらはぎ”は第二の心臓ともいわれ、血液・リンパ液を上半身に戻す役割を担っています。さらに、お尻を閉めると心臓の収縮力がアップ!ふくらはぎとお尻を一緒に鍛えることで「心」を補います。
◇心を養う食物【赤色・苦味】
次に食養生ですが、先ほどの五行の考え方で心は「赤色」や「苦味」を食べると機能が整うと記されています。梅干し、トマト、スイカなどの赤色。緑茶、ゴーヤー、ピーマンなどの苦味。これらの食材は利尿・消炎・鎮静・便秘にも効果的といわれ、体の熱を取る作用もあります。
普段の暮らしの中で気軽に取り入れられる、これらの養生法を実践し、この夏を乗り切りたいものです。
尚、お尻に力がうまく入らないという人は骨盤がゆるんでいる可能性がありますので、「椅子スクワット」の併用が必要。冷房由来の下肢倦怠感や“むくみ”にも効果がありますので、こちらも歩行量が減る夏には積極的にやりましょう。
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