偉人の魂に触れる~『管仲』
ある美容家の患者さんが「自分の身体で痛い処があっても、お客様のエステ施術に入るとその痛みが消えるんです。不思議ですね」と言っていました。
先日、私も朝からお腹が痛かったのですが、一人目の患者さんの施術を終え「ありがとうござます、楽になりました」と言われ、ふと我に返るとお腹の痛みが消えていました。こちらこそ「ありがとうございます。楽になりました」ですね。
整体の野口晴哉氏も「自分の腰が痛くて仕方ない時に、ぎっくり腰の患者さんを治したら、自分の腰痛も治ってしまった」と、著書につづっています。
どうやら、人間というものは「助け合い」と言うエネルギー循環で知らないうちに繋がっている。だから自分の出来ない事は助けてもらい、自分の出来る事で助けてあげる。つまり、このエネルギーを回転させることが心身の健康を保つ秘訣なのです。
偶然にも今、私が読んでいる『管仲』宮城谷昌光著の中にも「管鮑の交わり」と言う諺で有名な、中国春秋時代の管仲と鮑淑のこんな話が出てきます。
異なる性格ながらも互いを認め合い、男の友情を育んでいた二人が、ある時、仕える主が違うため敵同士に。そして斉という国の跡継ぎ争いに勝利した側にいた鮑淑が、何と敵であった管仲を斉の従臣にするよう桓公に懇願する。鮑淑に絶大な信頼をおき、人を見抜く力に長けていた桓公はこれを受け入れる。
管仲 「かたじけない…。」
鮑淑 「助けられたり、助けたりするのが人の世であろうよ。」
後に管仲は思想家、為政者として卓越した能力を発揮し、至高の宰相と称されることになります。ちなみに「管鮑の交わり」とは、利害を超えて絶対に信頼しあえる関係という意味です。
困った時には素直に助けてもらい、困っている人がいたら黙って手を差し伸べる。これが人の世なのですね。涙あふれる歴史小説です。
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