耳のトラブル
45歳を過ぎた頃から、耳鳴りや耳の閉塞感・難聴などを訴える人は徐々に増えていきますが、現代医学でも耳の不調は治療が難しい症状のひとつです。
東洋医学的には、耳の不調は「腎」を基本とし、加齢や気・水の不調が加わった病態と考えます。
加齢による耳の不調に関係しているのは腎です。腎は生命力の根源となる「精」を貯蔵していますが、これは老化により自然と減少していきます。結果、耳の働きが不安定になり、耳鳴りなどの症状が現れます。
また気が上昇することで、耳鳴りを起こすことがあります。これはストレスにより気が停滞し、肝に生じた熱が上半身に逆上している状態で、主に実証(体力のある)の人にみられます。
さらに水の代謝が悪くなり、むくみ等の水毒状態になると、耳の閉塞感などの不調が生じることもあります。
そこで、これら耳トラブルの時に用いるツボをお伝えいたしましょう。
①照海 (しょうかい)
【主治】腎経のツボ。特に耳の不調全般に効果あり。
【場所】内くるぶしのてっぺんから指2本分下の凹み
【刺激】指圧○、お灸○、ピップエレキバン◎
②中渚 (ちゅうしょ)
【主治】キーンという耳鳴りに、効果あり。めまい、立ちくらみにもよい。
【場所】手の甲側。薬指と小指の間。
【刺激】指圧○、お灸○、ピップエレキバン◎
③翳風(えいふう)
【主治】耳鳴り、中耳炎、偏頭痛、顔面神経麻痺、歯痛などに効く。
【場所】耳たぶの下の凹み
【刺激】指圧◎ お灸✖ ピップエレキバン○
④腎兪 (じんゆ)
【主治】腎の機能を旺盛にして生命力を鼓舞する。
【場所】お臍の高さ、背骨から指2本分外側
【刺激】指圧○ お灸◎ ピップエレキバン○
これらのツボ刺激で徐々に軽快していくことが多いのですが、高齢になるほど治りにくいことは否めません。
余談ですが、私も先日、片方の耳が突然塞がり聞こえなくなり、その後から「ピー」という耳鳴りが始まりました。自分で照海と中渚に鍼をして、腎兪にお灸をしました。半日位で治ったのでよかったのですが、いやはや、50歳を越えると身体には色々なことが起こり始めますね。