脳の働きをよくする
脳は右脳と左脳に分かれており、右脳は【直感・感情・発想】などの創造的思考を、左脳は【理論・言語・計算】などの論理的思考を司っていることは皆さんご存じでしょう。しかし、その左右の脳をそれぞれ効率的に働かせるためのメカニズムが人間の身体に備わっていることまではご存じの方は少ないと思います。
たとえば、数学の問題など論理的思考をしているときは、頭部あるいは全身が自然と左側に傾斜していることが多い。一方、絵を描いたり創造的な思考をしているときは、逆に右側に傾斜していることが多いのです。つまり、脳は荷重(重力が乗っている)側がよく働くようにできているのです。これは他人を観察していてもそうですが、自分で実験してもよくわかります。
先日も、会社では経理を担当しているという患者さんから「仕事中に上司から“身体が左側に傾いてる”とよく言われるんですけど、私の身体って歪んでますか?」との質問を受けました。しかし、この患者さんは身体が歪んでいるのではなく、身体を左側に倒すことで左脳を優位に働かせているのです。無意識にやっているようですが、その方が経理の仕事がはかどるのでしょう。
また片足立ちでも、右足立ちのときは荷重が脳まで伝達して右脳が優位になり、左足立ちのときは左脳が優位となります。こういうことが科学的実験でも解ってきています。
ですから皆さん、このメカニズムを仕事や日常生活に意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。右側に頭や身体を傾けたり、右足に荷重すれば直感が働き、発想が豊かになりやすい。また左側に傾けたり、左足に荷重すれば言語表現や計算能力がアップすることでしょう。
ちなみに私が歩くことをよく勧めるのも、人間は直立二足歩行をしており、荷重を両足から交互に受けることによって左右の脳のバランスを調整しているから。やはり健全な思考回路を維持するには論理的思考と創造的思考のバランスが大切ですよね。ゆえに“よく歩く”ということが人間には必要なのです。