胃とは食べ物を消化する代表的器官で “健康の指標” となる臓器です。
例えば、心身に異変があると食欲を落として「食べたくない…」と意思表示したり、反対に「○○が食べたい！」と脳に伝えることで、その時に身体が必要としている栄養素を訴えたりと、実に身体の声をいち早く表す臓器といえるでしょう。また、暴飲暴食やストレスなどの過大な負荷がかかると、胃の内壁が胃酸によって荒れて「痛いよ～！」と訴えるといったナイーブな一面も持ち合わせています。

先日もある患者さんの足のスネの筋肉(前脛骨筋)をマッサージでよくほぐしていると「そこ効きますね、何のツボですか？」と聞くので「胃のツボです。パンパンに張ってますよ！」と私が答えると「やっぱり…。最近ストレスが多くて胃が痛むんです」と言います。

前脛骨筋(スネの筋肉)には胃の経絡が走っています。この患者さんのように過度のストレスがかかると、先ず胃が痛むという人は多いですね。また、前脛骨筋がよくつるという人も胃に負担がかかっているといえるでしょう。

このスネには、胃の不調全般によく効くといわれている有名なツボ、足三里(膝の皿の下の凹みから指四本分下)があります。昔の人はこの足三里にお灸をすえて健康を維持していたといわれています。さらに指四本分下、またさらに四本分下の計三カ所にお灸をすえると下記のような効能がみられます。

・胆汁の分泌促進
・膵液の分泌促進
・腸の血流量増加
・腸内ガスの放出

これらによって、お腹の調子が改善していくということになります。

東洋医学では、先ず全ての処置の前にこの胃の気を補うことで、組織細胞呼吸が活性化され、他の処置の効きがよくなると考えます。美味しい物を食べると元気が出てくるのと一緒ですね。だから私は施術の最初に患者さんの前脛骨筋をマッサージでほぐすことが多い。ここをほぐしていると全身の気が巡り出すので施術の効果が上がります。

セルフケアとしては、この三カ所にせんねん灸をすえるのが一番のお勧めです。お灸が苦手な方はゴルフボールの付いた孫の手で叩いて刺激を与えたり、エレキバンやスポールバンを貼るとよいでしょう。


また、ご存じの方も多いでしょうが、日野製薬からでている「百草丸」は胃の調整に一役買ってくれます。私も胃の不調を感じたらすぐに百草丸を飲んでいます。江戸時代から３００年以上ある丸薬で副作用も少なくお勧めです！

人間は胃の調子が良いと気分も明るく朗らかになる。物事もポジティブに考えられるようになります。しかし胃の調子が悪いとその反対に…。
皆さん、まずは胃のツボ三点を刺激して調子を整えましょう！