肝臓を元気にするツボ「期門」
先日「会食が続いているせいか、肩や背中がこって仕方ない」という患者さんが来院しました。この患者さんの仰るとおり、過度の飲食は肝臓の負担が大いに増えるため、肝臓がある右側の肩・背中にコリや痛みが発生します。
肝臓を一言でいえば、「血液を使って体内環境をキレイに保つ多機能臓器」といえるでしょう。
例えば、糖質・たんぱく質・脂質といった栄養素は小腸から取り入れるのですが、それが次に運ばれるのが肝臓です。運ばれた栄養素は様々な化学反応を経て分解・貯蔵される。これが【代謝機能】。また、脂質の分解に必要な胆汁を作る【胆汁生産機能】もあります。そして皆さんご存じ【解毒機能】。解毒というと、アルコールを飲んだ時というイメージがありますが、薬や食品添加物などを摂取したときも同様で、これらを多く摂取している人ほど肝臓は解毒に大忙しとなります。
このように肝臓は多機能さを誇る忙しい臓器です。だから肝臓が忙しくなるとたくさんの血液が肝臓に集まり充血してくる。充血して腫れれば内側から肩や背中を圧迫するため肩や背中が張ってくるのです。風船を膨らますと表面張力がどんどん強くなるのと同じ原理ですね。
そこで、皆さんの「肝臓の疲れ度合チェック!」をしたいと思います。
肋骨の下に【期門】という肝経のツボがあります。このツボを両手の親指以外の四指で押します。肋骨を下からえぐるように押して、肋骨の中に指が入るようならば肝臓は健康。入るけれど痛いという人は少々お疲れ気味。全く入らないという人は相当疲れています。
昔の人はこの【期門】を押して肝臓をほぐしながら酒を飲んでいたそうです。この時期、飲み会や外食が続く人はぜひ真似してみてください。また、薬の服用量や食品添加物の摂取量が多い人もこのツボを日頃から刺激して肝臓を元気にしてあげることをお忘れなく。
整体の大家 野口晴哉は「肩コリは肝臓に愉気するだけ」と言っていましたが、それ程、肝臓は肩コリと密接に繋がっているのです。だから、私も肝臓が疲れている患者さんには【期門】に手を乗せて肝臓が反応するまで愉気します。肝臓が動きだせば肩コリは和らいでいきますからね。
さて、普段から自炊だし、アルコールや薬も決して多く飲んでないのに、なんで私は肝臓が疲れているのかしら?という人もいることでしょう。
実は心の中に怒りや忍耐、憂鬱や煩悶があると、それが「やり場のないエネルギー」として淀み、滞ってしまい【期門】の硬直を引き起こすことがあります。飲食に気をつけていても、過度なストレスがあると肝臓に負担をかけてしまう。つまり、ストレスも肝臓で解毒しているということになります。特に「怒りは肝臓」「忍耐は胆嚢」に影響を及ぼすと東洋医学では考えますので、何事も過度にならないよう注意しましょう。頭ではこのくらい大丈夫と思っていても体は正直なのです。
豪華な食事やケーキ、アルコールをいただく機会が一年で一番多いのが今頃~年末年始。期門のツボを押さえて肝臓を柔らかくほぐしながら、上手に過ごしたいものです。