睡眠の大切さ
季節は晩秋に入り、少しずつ冬の足音が聞こえてきました。秋の夜長とはいえ、皆さん、よく眠れていますか?
ということで、当院の患者さんとの睡眠話を二つほど。
当院での会話①
【患】疲れているはずなのに眠れないんです。だからつい睡眠導入剤に頼ってしまう。薬には頼りたくはないのですが…
【私】肉体労働や頭脳労働で疲れている人はバタンキューと眠れるのですが、心の疲労がそれらを上回ると眠れないんですよ。
【患】心の疲労!?
【私】不安・悲しみ・怒り・嫉妬など、いわゆる「悩みや葛藤」と呼ばれるものです。だから、心の問題を薬で解決しようとしても難しいでしょうね。
【患】では、どうしたら。
「私」ウオーキングをして肉体に負荷をかけたり、難しい勉強や読書で頭脳に負荷をかける。すると心の疲労が薄らいでいくのです。
【患】へぇ~。試してみます!
◆人間には、労働や運動で筋肉を使った事による「肉体疲労」、仕事や勉強で頭を使った事による「頭脳疲労」、悩みと呼ばれる「心の疲労」という三つの疲労があります。
この三つのバランスが取れていると良く眠れるのですが、不眠を訴える人に多いのが「心の疲労」が他の二つに比べ突出しているということ。
そこで、軽い運動で筋肉を疲労させたり、勉強や読書で頭脳を疲労させる事でバランスを取る。そうすることでエネルギーの注ぎ先が変わり「心の疲労」が薄らいでいきます。
つまり、人間は日々適度な「肉体労働」と「頭脳労働」をして体力を消耗させておかないと、余った体力で悩み始めたり、葛藤を始めたり、布団の中で心の運動会を始めてしまうということですね。
当院での会話②
【患】この間70歳になったけど、同世代の仲間で元気に働き続けてるのは俺くらいかな。
【私】10年前から診させてもらってますが、忙しくても寝るよう努めてくれるから助かります。施術をしても治りが早い。
【患】昔から寝る時間だけは優先的に確保していたからね。飲み会でも2次会、3次会まで飲んでた同僚はみんな病気になってる。俺は1次会で帰ってちゃんと寝てた。
【私】大正解でしたね。私も寝る時間を優先的に確保し、残りの時間で何をするかという順番です。でもこの順番が逆の人が多いんです。
【患】睡眠を削って働き続けたら、そのうち体調崩して仕事に大穴あけるのに…プロフェッショナルじゃないな。
【私】仰る通りでございます。
◆睡眠の大切さを私は両親から学びました。
父は「俺は生まれ変わったら飼い猫になりたい」と冗談を言うくらい、暇があれば寝る人です。そのお蔭か今だ病気知らず。80歳になった現在でも働いています。
一方の母は、寝ずに働く頑張りすぎ屋。そして案の定、無理がたたって60歳でガンに倒れます。二度の手術を乗り越え、何とか生還しましたが大好きな仕事はできない体に…。今は孫の世話と家庭菜園をしています。
私はこの両親を見ていますから、睡眠を重要視するのも分かっていただけると思います。
よって、私は仕事の日であろうが休みの日であろうが、睡眠時間帯を夜11時~朝6時に固定しています。夏は少し短く、冬は少し長くなりますが、365日同じルーティンゆえに夜11時にはちゃんと眠くなり、朝6時にはちゃんと目が覚める。もちろん目覚まし時計は必要ありません。
しかし、当院の患者さんには「休日前の金曜日はつい夜更かししてしまう」という人が意外と多い。そして、こういう人に限って「月曜日の朝が辛い」と言うのです…。体力のある元気な20代のうちは夜更かしをしても体内時計はすぐに戻ります。しかし、年齢を重ねるに従って体内時計の修正には時間がかかるようになり、様々な体調不良の原因となりますので夜更かしは止めましょう!
ちなみに、夏より冬の方が睡眠時間が長くなる理由ですが、人間は身体に入った “冷え” を寝ることによって解消するから。統計では、日本で平均睡眠時間が一番長いのが青森県民で8時間超。次いで秋田、岩手と寒い地方が続きます (北海道は住宅暖房が充実しているので冷えは少ない)。反対に平均睡眠時間が一番短いのは沖縄県民で7時間半弱。
ということで、冬の足音が聞こえ始めたら、少し早く眠りにつくことを心掛けましょう!睡眠も立派な冷え解消法となるのです。