百会 ~気血調整のツボ~
「百会」は頭のてっぺん、頭頂部の真ん中にあり、押すとズーンと感じる少し凹んだところです。
百(もろもろ)の経絡が会(交わる)という意味をもっているツボで、多種多様な症状に対して効果があり、万能のツボといわれています。
その効用は『針灸治療基礎学』代田文誌著に【百会の主治】として次のように書かれています。
①脳充血、高血圧に百会を刺激すると血圧が下がり、また、煩わしい耳鳴や眩暈(めまい)がなおる。
②神経症や神経衰弱(健忘、心煩、驚動、倦怠)に著効がある。不眠症には就寝前に刺激するがよい。この種の患者の多くは百会の圧痛が極めて強く、軽く押しただけでも首を縮めるものが多い。
③常習頭痛には百会を刺激するがよい。
④鼻のつまるものや蓄膿症にも効く。
⑤痔核および脱肛にも効く。
⑥中枢神経の興奮の鎮静に重要なツボであるが、五臓六腑を整えた上で用いること。
先日も「仕事の忙しさから、頭の血が下がらなくて辛い。肩こりもひどいんです…」という患者さんが来院しました。頭皮を触ると熱を持ってブヨブヨしていたので、全身を調整した後、百会に鍼をしたら「頭がスーッと楽になった」と言って帰って行きましたが、現代社会は一日中パソコンを見て、身体を動かすことは少なく、頭脳労働ばかり。これでは頭の血が下がらなくなるのも当然のことでしょう。
この方のように、ストレスや疲労が溜まってくると「気血」が上昇し、頭が熱をもったり、頭皮がブヨブヨしてきます。最近、こういった状態の患者さんが増えているので、施術でも必然的にこの「百会」に鍼をしたり、指圧することが増えています。
さて、セルフケアとしては「百会」を爪楊枝など尖ったもので、心地良い程度に刺激するとよいでしよう。ツボに入ると軽く押しただけなのに「効く~っ」というイタ気持ちよい感覚が得られます。特に性格的に完璧主義者、心配性、短気、神経質の人は百会周辺を頻繁に刺激するとよいでしよう。
私はデスクの筆立てに竹串が入れてあり、頭が疲れたときには竹串の先端で百会をはじめ、頭全体を刺激します。するとボ~としていた頭がシャキッとしてくるので重宝に使っています。
皆さんも「百会」を刺激して、気血の流れを整えてみてはいかがでしょうか。