03-5420-1696

ブログBlog

Blog

03-5420-1696

受付時間

火水金 10:00~19:00
 月  10:00~13:00
土日祝 10:00~17:00

休診日

木曜
月曜午後

Home > ブログ > 『夜明け前』島崎藤村

読書

『夜明け前』島崎藤村

夜明け前
暑い季節は冷房の効いた涼しい部屋での読書にかぎる!ということで、この夏、私は近代歴史文学の代表作である 島崎藤村の『夜明け前』を読んでいました。

「木曽路はすべて山の中である」という有名な書き出しで始まる『夜明け前』。舞台は中山道・木曽馬籠宿。その庄屋本陣当主である青山半蔵(著者の父がモデル)の、明治維新の理想に燃えた若き日から失意の中に狂死するまでの生涯が描かれています。

藤村は青山半蔵の人生を通して、日本の西洋化と、古き良き日本への回帰の間で揺れ動く心を、本作品のテーマとして描きたかったのでしょう。
通常、歴史とは時の権力者側の見方から描かれるものですから、私達は明治維新が格好良いものであると学校で教えられています。しかし、明治というのは庶民を犠牲にし、急速な西洋化をするために、それまで千年に渡ってあった日本文化を中心とする愛国心を利用して、言葉を変えれば国民を騙して成立した国家。そんな明治維新を下から、つまり庶民側から見た真実が本作品には描かれています。

また、医学の分野でもこの時期、大変な出来事が起こります。明治新政府は西洋医学を採用し、伝統ある漢方薬と鍼灸を生業とする漢方医を認めない、今でいえば医師免許を剥奪するというビックリな方針を打ち出しました。千年の歴史があり、庶民にも支持されている伝統医療を行う人を、今後は医師として認めないというのです。

現に明治天皇も漢方医に身体をゆだねていたといわれ、「いそのかみ 古きためしをたずねつつ 新しき世の こともさだめむ」という御製まであります。わが国の古来より伝わる先例のもつ心を探り求めながら、新しい時代の様々な事も定めて行こうと。それなのに…。

本当に明治新政府は馬鹿なことをしてくれました。いきなり廃藩置県をやって士族を路頭に迷わし、廃仏毀釈で古い寺をみんな壊してしまう。そしてこともあろうに医術まで西洋の真似をし、これからは西洋医学じゃないと国は発展しないと言い出す始末。しかし、私は声を大にして言いたい。漢方や鍼灸などの東洋医学は明治維新から160年経った今でも日本に残っているぞ!本当に良いものは必ず残るのだと。

このように明治維新は多くの犠牲の上に成立しました。それなのに何故、明治が偉大な時代だったかといえば、多くの人々が日本の魂に誇りを持ち、日本の為に人生を捧げ尽くすことを当然と思っていたからです。
涙なくしては読めない真実の物語に、皆さんも触れていただきたいと思います。

シェアするShare

ブログ一覧