坐骨で座る
デスクワーク全盛の現代、椅子に長時間座っていることが原因で起こる“肩こり・腰痛”に悩まされている方はとても多いものです。
先日も「椅子から立ち上がった時に腰が痛む」という患者さんが来院しましたが、筋肉の力を使って長時間座っているとこうなる。筋肉ではなく、骨に重心を乗せて座ると身体の負担が少なくなり、こういった腰痛を予防することができます。
座るに限らず“疲れにくい姿勢”というのは、骨に重心が乗り、周りの筋肉はほんの少しサポートしているだけの状態をいうのです。
それならば、一般的に良い座り方といわれている“背筋をピンと伸ばした座り方”をすれば良いんですね!と思うことでしょう。しかし、この座り方をすると、触ればわかりますが、腰の後ろの筋肉(脊柱起立筋)が強く緊張してしまいます。筋肉に頑張らせて姿勢を作ることからも、長時間キープすることは当然無理。
反対に、一般的に悪い姿勢といわれている“背筋を丸めた座り方”を続けていると、お腹の奥にある腸腰筋に負担がかかり、腰痛の原因となってしまう。
では、正しく疲れにくい姿勢を作るには、どのようにしたらよいのでしょうか。
それにはまず、椅子に座り、お尻の下に手を入れてみてください。するとグリグリした骨を左右感じることが出来るでしょう。これが「坐骨」です。この坐骨をよ~く意識した上で、
①両足を地面につけたまま、身体を前に倒す
②お尻を一度浮かせてから、再度、坐骨を椅子につけ直す
③坐骨の上に背骨を乗せる感覚で、身体を真っ直ぐに起こす
坐骨の上に上手く背骨が乗ると、腰に過剰な負担がかからず、肩の力も自然に抜け、めちゃ楽な感覚になります。これが“どの筋肉も頑張っていない座り方”です。
ただし坐骨で座っていても、30分に1回は立って伸びをすること。そして1時間に1回は給湯やトイレに歩いてください。東洋医学では「座りすぎると脾を傷める」と言います。脾は胃とペアになって消化吸収を行ったり、気血を全身に巡らせるという重要な役割をもつ臓。それが弱ってしまうのですね。
しかし、職場の環境上、なかなか立てないという人もいると思います。そんな場合は、小まめに①~③を行い、坐骨をリセット、座面から一度浮かせて付け直すことで身体へのダメージを減らす事ができます。
長時間の座り仕事の皆さん、ぜひ、この「坐骨で座る」を実践してみて下さい。筋肉への負担が減り、肩こり・腰痛が改善されることでしょう!!