うつしの美学 ─ 実相を見る 展
千代田区麹町にある戸嶋靖昌記念館で開催されている執行草舟コレクション「うつしの美学─実相を見る」展を鑑賞しました。
詩人 大岡信は、日本の文化伝統のなかには「うつしの美学」が極めて深い根拠をもって生きている。「うつし」とは「移し」。すなわち、あるものを別のものに成り入らせ、その動静と調和に美を見出す精神の活動である。と『菅原道真論』に記しています。
館内には、そんな 「うつしの美学」成り入る作品が数多く展示されていました。
中でも特に印象に残った作品が広瀬功の「 木曽路 ─ 仙丈ヶ岳 」です。仙丈ヶ岳はその優雅な山容から南アルプスの女王とも呼ばれる山で、長野に在る私の実家からもよく見えるのですが、その聖母のような優しさが広瀬功の筆によって絵の中に見事にうつし込まれていました。
そして、その実相(奥に隠された真実の姿)は、私の心の中に幼き日の懐かしき思い出を甦らせたのです。
真の芸術家とは「うつす」ときに見つめる「実相」を描く。魂の中から何ものかを創造することができるのでしょう。
他にも戸嶋靖昌・石田淳一・林武・安田靫彦の絵画から熊川渓雲の木彫まで、ボリューム満点の幅広い展示となっています。
皆さんも、うつす力の中に宿る“美”を見出しに戸嶋靖昌記念館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
「うつしの美学─実相を見る」展は、2024年4月20日まで開催されています。
執行草舟公式Webサイト http://shigyo-sosyu.jp
BIOTECホームページ http://biotec1984.co.jp