なぜ、町医者はインフルやコロナにかからないのか
先日、患者さんが「前から不思議に思っていたのですが、近所のクリニックの先生達って何でコロナにかからないんでしょうね?」と言っていました。
確かにコロナ禍の三年間に限らず、町医者の先生がコロナやインフルエンザを発症してクリニックを休診したという話をあまり聞かないのは何故だと思いますか?
勿論、患者さんを診るという“使命感”を持っていることが一番の理由なのですが、患者さんと接するという事はウイルスにも少なからず触れているという事。だから、毎日少しずつウイルスに触れている事で徐々に免疫が出来ていくと考えられられます。
ただし、入院施設のある大病院などは患者さんと接している時間が長い為、医者やスタッフが発症してしまうのですが、町のクリニックは患者さんとの接触が短時間なので発症までには至らない。つまり、免疫力は“少しずつ”ウイルスに触れ続ける事で生み出されていくのです。
近年、「除菌」「抗菌」という言葉がもてはやされていますが、清潔も度を超すと免疫力は落ちてしまう。例えば、軽い擦り傷の場合、消毒すると身体に益をなす常在菌も殺してしまうため、傷痕が治りにくくなります。
また身体は菌が入ったときにその菌に対する抗体を作ることで、免疫力のある強い身体へとなっていきます。昔は子供が様々な病気を経験する過程で免疫がついたものですが、今は予防に一生懸命になったため、昔よりも免疫力が低下しているともいわれています。
これは精神面にもいえることです。あまりに変わらない日常を過ごしていると、些細な出来事に大きく動揺してしまいますが、日常生活で少しずつ刺激的な事が起きていれば、心の揺れにも耐性ができ、何か事が起きたとしても平常心でいられるもの。このように、人間には常に適度な刺激が必要なのです。大人であってもあまり自分を過保護にせず、その時々に合った負荷がかかるような生活を送ることが、心身の健康を保つ秘訣といえるのではないでしょうか。