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心と体の健康維持

長生きなのに不健康

荘子
皆さん、突然ですが日本人のうち「自分が健康だと思っている人」の割合は何パーセントだと思いますか?
OECD (経済開発機構) 調べでは何と30%、世界最低です。トップはアメリカ人の90%、ヨーロッパ人が大体60%です。まあ、肥満率四割なのに自分達は健康だと思うアメリカ人も、世界一、二の長寿国なのに自分達は不健康だと思う日本人も、どっちも病んでいますね(笑)。ヨーロッパ人あたりが妥当な健康観をもっているのではないでしょうか。

しかし、日本人に自分が健康だと思っている人が、ここまで少ないとは私も思いませんでした。やはり、社会が「健康であらねばならぬ」というプロパガンダを全面に押し出していて、一般の人達がそれに巻き込まれている。皆、自分はどこか具合が悪いと思い込まされているのでしょう。やたらと病院へ行って、やたらと薬を飲んでいます。

では、日本人はこんなに長生きしているのに、なぜこれほどの不健康観に苛まれているのか。思いつくのは、日本人は理想の暮らしと実際の暮らしが大きくズレているからではないでしょうか。
日本人の場合は、皆が一律に健康になるべきだと思う規範があって、当然そこに現実とのギャップが生じる。つまり肉体面での理想が高すぎるんですね。
一方でアメリカ人は、いくら暮らしが大変でも理想と現実が近いから、その間にギャップがない。「俺の人生、こんなもんだ」と思っている人が多いから、不健康観に苛まれる人も少ないのです。

そもそも健康とは、病気にならないことではなく、たとえ病気になったとしても自ら治る力を持っていることを言います。日頃から養生して、定期的に身体をケアしていれば、たいていの病気は自然に治っていくものだからです。
私だってブログで偉そうなことを書いていますが、過去には偏頭痛・高血圧・めまい・耳鳴り・副鼻腔炎・顎関節症・寝ちがえ・喘息・動悸・肋間神経痛・胃痛・過敏性腸症候群・痔・ぎっくり腰・坐骨神経痛・痛風・足底筋膜炎等々、多くの身体の不調を経験しています。でも、施術者としては患者さんの気持ちが分かるようになるから、それも悪くないと思っています。だから、日本人は少しアメリカ人を見習って「俺の歳なら、身体はこんなものさ!」と生きていく位で丁度いいのです。

著述家の執行草舟氏もその新刊著書『人生のロゴス』に、人生と生命の達人である荘子の “生を殺す者は死せず、生を生かす者は生きず” を挙げ、「自己の命も顧みずに、人生を生きる者はその命さえも長らえることが出来る。反対に自分の命だけを大切にする者は人生そのものを失う。そして、その命も失う危険が大きい。人間とは、命がけで生きれば“よく生きる”ことが出来るのだ。そして、命を惜しんで生きれば“腐り果てる”ことになる。生命はすべて、逆説の論理を愛する」と記しています。確かに、異性にモテたいと思えば思うほどモテなくなり、お金持ちになりたいと思えば思うほどお金は貯まらない。また、健康になりたいと思えば思うほど病んでいく。この逆説の論理を愛すれば愛するほど、人生を“よく生きる”ことが出来るようになるのです。

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