切りすぎにはご注意を!
先日、来院した患者さんの指先に絆創膏が貼ってありました。「指、どうされたんですか?」と聞くと、「指先が割れてしまって、痛いんです…」とのこと。爪を見るとやや深爪気味。深爪は指先の肌肉に負担がかかるため、指先の皮膚が荒れたり、パックリ割れやすくなってしまいます。
爪が担う大切な役割の一つとして指先皮膚の保護があります。深爪だと指先が刺激にさらされ、肌が荒れやすくなってしまうのですね。もう一つの役割は指先に力を入れやすくすること。深爪だとその機能が損なわれ、ペットボトルの蓋が開けにくくなったり、物を落としやすくなったり、歩行のバランスが崩れるので転倒のリスクが高まります。特に足の親指の爪を短く切りすぎると「巻き爪」や「陥入爪」という歩行痛を伴う厄介な状態になってしまいますので注意が必要です。
では、爪はどんな長さに切ったらよいのでしょうか。また、爪を切る間隔は?爪のトラブルに詳しい桑原靖医師は、切り方には大切なポイントが二つあると言います。
①爪は指先と同じ長さに揃えよう!
・爪の形は四角く角を少しだけ丸めた「スクエアオフ」がオススメ。特に足の親指は巻き爪を予防するためにスクエアオフがよいでしょう。それ以外の指や手の爪については、指先のカーブに沿った形でも構わないです。
②爪は一度に切らず 少しずつ切るべし!
・爪は三層構造になっているため、一度にバチンと切ったり、切れ味の悪い爪切りを使っていると、表層が剥がれる「二枚爪」という状態になってしまいます。切れ味の良い爪切りで少しずつ切りましょう。
次に爪を切る間隔ですが、皆さん、爪が伸びる速さはどれくらいだと思いますか?個人差はあるのですが、健康な成人で手の爪は10日で1ミリ伸びると言われています。足はその約半分の速度です。そうすると手は10日に1回、足は20日に1回が爪を切る目安と言えるでしょう。この間隔よりも短く切っている人が多いのではないでしょうか。爪の切りすぎにはくれぐれもご注意を。
ちなみに、東洋医学五行論の五華(五臓の変調が生じる部位)では爪は“肝”と関係が深いとされています。肝の状態が爪に現れると考えます。だから爪の色艶形が悪い患者さんは肝に異常がある。よって、肝経のツボをを中心に施術することで全身のバランスを整えていきます。
また、五華の残り四つ、心は“顔面”、脾胃は“唇”、肺は“皮膚”、腎は“毛髪”にそれぞれ変調が現れるとされています。つまり「表」を見て「裏」が解る。これが東洋医学の醍醐味なのです。