なぜ 足はむくむのか‥
この夏は、冷房の効いた環境で過ごす時間が長かったり、暑さによる歩行量不足から下半身がむくんでいる患者さんが多かったですね。
「足のむくみ」は多くの場合、静脈の血液がうまく還流しないことから生じます。その最大の理由は、筋肉の「収縮と弛緩」がないためです。座りっぱなし や 立ちっぱなしの後に足がむくむのもそのせいなのです。
血液は心臓から動脈を通じて「酸素と栄養」を組織に送り届け、帰りは「二酸化炭素と老廃物」を拾い、静脈を経由して心臓へと戻ります。動脈血は心臓が収縮する力で身体の末端まで送り出されますが、心臓へ戻る静脈血は重力の影響を受けて帰りにくくなる。この時にポンプの役割をして、血液が心臓に戻る助けとなるのが「筋肉」です。
全筋肉量の三分の二を占める下半身を適度に運動させれば、筋肉のポンプ作用が働き血液の滞留を防いでくれます。それだけに日頃から適度に動いて筋肉を刺激していれば、より血流の循環を促し、足のむくみを防ぎ、心臓の働きも助けてくれることでしょう。
昔の日本人は家事に忙しく動き回っていたし、食事は「正座」、トイレは「和式」だったので、自然と下半身の筋肉が刺激され、現代人ほど足がむくむことはなったと言われています。私も立ち仕事をしていますので、自宅での食事は正座をして食べています。正座をすると下半身に適度な圧力がかかり、溜まった血液が心臓へと戻りやすくなるので気持ちがよいですね。
さて施術ですが、中高年になると心臓のポンプの働きや腎臓の機能が徐々に衰えて、足がむくみやすくなってきます。そこで、心臓には胸椎4番を、腎臓には胸椎10番を調整して血流を改善します。中には施術終了と同時にトイレに駆け込む方もいるのですが、お小水としてどんどん出せれば、むくみは減るのです。
また、セルフケアとしては足首から下を温める「足湯」が効果的です。この部分浴を行うと足の先から循環がよくなってくるので、心臓や腎臓の働きも活発にしてくれます。
最近は少しずつ涼しい日もでてきました。私はウォーキングをしていると体調が良い。そのライフスタイルを今年の夏は「猛暑だから‥。すごい湿度だから‥。」等々、あれやこれやと理由をつけて止めていました。
ウォーキングを再開した今日この頃、「やっぱり スピードに乗って大股で歩くと、血の巡りが良くなって気持ちいいなぁ」と感じながら歩いています。ただし、普段あまり歩いていない人は無理をしないで、ゆっくりと少しずつ歩幅を広げていくように歩いて下さいね。