いま、日本に必要なものーそれは美学である
先日行われた参議院選挙で参政党から出馬し、当選を果たした神谷宗幣氏が主催する「イシキカイカク大学」での“2019年度 執行草舟氏の講演”をまとめた『日本の美学』が実業之日本社より出版されました。
神谷氏とは真に日本国の現状と将来を憂え、日本のために自分の出来ることを絶えず模索している方です。
この本の中で執行氏は「人生の意義は何かというと、自分の生命を何に捧げるかを考えることなのです。捧げるものが見付けられたら成功の人生です。昔は多くの人達が青春時代に文学を読んでいます。文学を読むというのは何かというと“青春の苦悩”です。優れた文学を読んで頂けると分かりますが、自分の生命を何に捧げるかを問うものなのです。今、時代が悪すぎて周りにまともに生きている人がほとんどいません。すべてが国家の走狗で、マスメディアを中心にほとんどの人は自分が得をしたいだけです。だから立派に生きた先人の本を読んで、そのように生きた人生と魂を自分の魂に引きつける。これがすごく重要なのです。これは今、読書でしかできないので、私は皆さんに読書を徹底的に勧めているのです」と語ります。
確かに、現代は経済成長と物質的豊かさによって、多くの人が自分の生命を捧げないどころか、反対に得をしたいと考えるようになってしまいました。テレビを見ても損得の話ぱかり、周りの人と話しても損得で物事を考える人が増えています。美しい日本はどこへ行ってしまったのでしょうか‥。日本の本質とは何か、人間の本源とは何かが『日本の美学』には書かれています。まだ日本人の魂をお持ちの方ならば是非ご一読を。
また、最近読んだ本でファッションデザイナーのコシノジュンコさんが、お母様の42の言葉を綴った『お母ちゃんからもろた日本一の言葉』にも私は“日本の美学”を感じました。お母様の小篠綾子さんは独学で勉強し洋裁店を開業。洋装用品業界の発展に尽力し、NHKの朝ドラ『カーネーション』のモデルとなった方でもあります。
この本の中に遺言として書かれていたのが「もらうより、与えるほうが得やで」という言葉。これは聖書にある「与うるは受くるより幸いなり」をお母様流に言い換えたもので、「人に何かしてもらうより、してあげるほうが素敵な事だし、幸せなこと」という意味です。
お母様の葬儀では、全然知らない人なのに「お母さんに世話になった」と言う人が続出だったそうです。その光景を見たら、お母ちゃんはきっとこう言ったことでしょう。「な、ジュンコ、得やったろ」。そう、コシノジュンコさんは語ります。
人間は美学を持つと“得”の捉え方も美しくなるのですね。
「与うるは、受くるより幸いなり」。小篠綾子さんの大好きな言葉。自分の生命を何ものかに捧げた人の人生は、やはり素晴らしいものとなるのです。