丹田を意識して歩きましょう!
「歳を取ると、なぜチョコチョコ歩くようになるのでしょうか。私、そうはなりたくないので何か良い方法を教えてほしいのですが…」と、50代の患者さんから質問を受けました。
東洋医学では腰や下半身の様々な症状は、腎の働きの低下(腎虚)が原因と考えます。腎気は加齢と共に徐々に減っていくものなので、歳を取ると腎虚になりやすくなります。すると丹田(腹や腰)に力が入りにくい、いわゆる“腰抜け“の状態になるためチョコチョコ歩く様になるのです。
そんな患者さんに、私は腎経の「照海」というツボから鍼を使って気を補います。皆さんは指圧したり、セルフ灸をするとよいでしょう。「照海」は疲労回復のツボでもあるので施術で患者さんによく使っています。
先日もNHK Eテレで放送していた“古武術に学ぶ体の使い方“という番組で講師が「両くるぶしの下に人差し指・中指・薬指の3本を当て、グリグリと押してほぐす。これだけで、股関節の詰まりが抜けて、格段に足が上がりやすくなります」と指導していました。私も実際に指圧前後で比較してみたのですが、確かに足が軽く上がるようになります。やはり、このツボはよく効きますね😃
さて、腎を補うと呼吸が深く入るようになりますので、まずは息を吸って腰回りを気を満たしましょう。腰回り、いわゆる丹田に気を満たして歩けば、ゆったりとした若々しい歩き方になります。一方で丹田から気が抜けてしまうとチョコチョコとした年寄り歩きとなります。ですから日常生活の中でも気づいた時には丹田を意識して行動して欲しいですね。通勤時や買い物、家の中を移動する時など、あらゆる場面が実践の場となり丹田を養うことが出来ます。そして丹田を養い続けることで若々しく歩き続けられるのです。
ちなみに、古武術では歩き方のポイントとして「ケンカしない」「柔らかく」と言います。つまり、地面を強く蹴ることはNGで、足裏をそっと地面に接するような、柔らかい足の運びを意識することが大切だと説きます。難しく感じるかもしれませんが、丹田に気を満たせば自ずからそういう歩き方になるのです。
腎気は加齢と共に減っていくもの。しかし、東洋医学を使って腎を補い、常に丹田に気を満たし養い続ければ、歳を取ってもチョコチョコ歩きにはならないのです。
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