『古武術に学ぶ体の使い方』
先日、JR山手線のシートに座って本を読んでいると、綺麗な女性が乗車してきて私の前に立ちました。そして彼女もバックから本を取り出して読み始めたのです。
「フムフム、この車中スマホ全盛の時代、電車で文庫本を読むなんて感心、感心」と最初は思っていたのですが、しばらくして彼女がつり革に掴まっていないことに私は気づきました。両手で本を持ち熟読しているのです。電車なので当然揺れるのですが、彼女にとってはどこ吹く風。まるで地震の揺れを上手に逃がす法隆寺の五重の塔のようにスーッと楽に立っているのです。
法隆寺境内にある五重の塔は、地震国日本にあって、1300年以上も創建当時の姿を現在に留めています。五重の塔、三重の塔などの木塔と言われるものは全国に数多くありますが、地震で倒れたという事例はあまり聞きません。1995年の阪神大震災でも兵庫県内にある15基の三重の塔は一基も倒壊していないそうです。
法隆寺の解体復元を行った宮大工・故西岡常一氏は「古代の建築物を調べていくと、古代ほど優秀ですな。木の生命と自然の命を考えてやってますな」と言います。その五重の各層は接合されていない柔らか構造で、その中心に一本の心柱があります。心柱は制振ダンパーの役割となって、塔自体が右に傾こうとすれば心柱は左に動いて自立を保とうとする効果があり、これはスネークダンスと呼ばれていて地震の揺れを大幅に軽減します。
この古(いにしえ)の理論を人体に応用すれば揺れる電車の中でも、楽に立てるのです。では、そのポイントをお伝えしましょう!
①足を少し開いて立つ
②あごを引いて首を上下に伸ばす
③胸を沈める (胸は張らない)
④骨盤を後傾させる→ 膝が自然と曲がる
⑤きびすを踏む (かかとに体重を乗せる)
以上のポイントは現在、NHK Eテレで放送している「古武術に学ぶ体の使い方」のNHKテキストに詳しく載っています。
「脱!筋トレ!? いにしえの知恵で暮らしの動作が楽になる」というサブタイトル。
“いにしえ“の優れた日本人の体の使い方が、他にも多数掲載されていますので、ご興味のある方は是非ご一読を。