牛乳は身体に良い?悪い?
コロナ禍で外出恐怖症の患者さんが、「コロナで外出自粛なんかしてたら骨が弱くなるぞ。カルシウムの薬なんか、気休め程度のものなんだからな」と、かかりつけ医から言われたことは、以前書きました。確かに骨が弱いからといって、カルシウムを多く摂ればいいというものではありません。軽い運動などで骨に負荷をかけてあげる事の方が、より大切なのです。
骨の基質は膠(にかわ)、つまり特定タンパクであり、基質の周りにカルシウムがくっつき、さらに水が加わることによって強度を増しています。まさに鉄筋コンクリートと同じ構造ですね。鉄筋の入っていないコンクリートは非常にもろい。この鉄筋にあたるのがタンパク質。それでは、タンパク質もカルシウムも豊富な牛乳をたくさん飲めばいいかというと、これもまた問題点が多いのです。
牛乳は栄養学的には、確かに栄養豊富な完全食品といえます。しかし、栄養が豊富であるということと、体内でどのように吸収されるかということは別問題です。乳幼児を除いて日本人の場合、約8割(欧米人は2割)の人が乳糖耐性がない。つまり、乳糖分解酵素を体内に持っていないのです。 したがって、大半の日本人は体内で吸収されることなく排泄されてしまいます。しかもこの時、体内カルシウムが余計になったと身体が認識して、既に体内にあったカルシウムまでも一緒に排泄してしまう。牛乳をたくさん飲むと骨が丈夫になるどころか、逆に骨を弱くすることになるのです。
では、骨を強くする上で必要なタンパク質とカルシウムはどのように摂ったらよいのでしょうか。まず、タンパク質についてですが、当院の患者さんでは「お肉はあまり食べない」という人が骨折している傾向にありますので、お肉は必要ですね。豚肉、鶏肉の順でオススメです。カルシウムについては、日本人の吸収率が高いのは海苔なのですが(欧米人はほとんど吸収できない)、現代の食事で完全に補うことは非常に難しいです。なので、私はカキ殻を精製粉末化したミネラル補助食品を摂っています。ご興味のある方はご相談ください😊
以上の理由から、私は健康の為に牛乳をたくさん飲むことを日本人にはオススメしません。しかし、コーヒーに少しいれる等、少量の摂取は全く問題ないでしょう。
飲食については洋の東西を問わず、それぞれの遺伝子や民族文化に根差したものを中心に摂取する事が、私たち人間の健康を維持する秘訣なのです。
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