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読書

出版10年 ~知る人ぞ知るベストセラー~

「生くる」「友よ」
東日本大震災から今日で10年。月日の経つのは本当に早いものですね。私は中村天風の「さしあたる その事のみをただ思え 過去は戻らず 未来知られず」を座右の銘にしていますので、自分の過去や未来の事など考えず、ただ今日の業を成し終えることだけ主義なのです。しかし、東日本大震災と時を同じくして、ある方がくれたアドバイスが私の思考を大きく軌道修正してくれたので、今回は少し過去を振り返り紹介したいと思います。

当時、仕事において治療技術的な事ばかりに気を取られていた私に、その方は「どんな職業であれ、哲学が入っていない人間は一流にはなれない。この本をしっかり読み込むといい」と『生くる』『友よ』の二冊を私に勧めてくれました。

『生くる』とは実業家で歌人でもある執行草舟氏による人生論です。この本は自分が正しいと思い込んでいた事が実は違うんだという気付きを与えてくれます。例えば、「感謝より恩が大事」という一節。

「感謝とは神仏など目に見えない対象に向かう意識なので、現実の人間社会においては無力なのだ。感謝が具体的な形をとって実現されたものが恩となる。したがって感謝は本人がそう思っているだけで行った事になり、満足できてしまう意識と言える。それに比して恩は、必ず何らかの形を示して報いなければならない。家族を中心として、国や仕事や世間から受ける恩を自覚すれば、必然的に道は拓けてくる。だから、恩を知らぬ自分中心の人はすべてに行き詰まる。自分の事は自分が諦めればそれで済むが、他者の恩に報いるためには、諦める事も投げ捨てる事もできない。恩は返さなければならないのだ。そして、その道筋が自分の足場を作り、本当の生きがいを生む。恩を自覚すればする程、その強力な束縛のゆえに、人間は何事をも成すことができるのです。」

この他にも「運命を愉しむ」「壁にあたりし時に」「自信とは何か」「飛躍について」「必然について」など、目を開かされる53の項目について書かれています。

『友よ』も著者である執行草舟氏自身の若き日の思い出と共にニーチェやヘッセ、王陽明、高村光太郎ら古今東西45編の詩歌を通し、人としての心のあり方、つまり真心の本質を分かりやすく示してくれています。患者という一人の人間に接する施術者として、その心の根底に必要な真心を私に教えてくれました。

あれから10年。私は執行哲学を人生の根幹に据えると決め、執行氏の全ての著作を読み込みました。すると不思議なのですが、否、必然なのでしょうが、今までと同じように施術しているつもりなのに患者さんの反応が徐々に良くなり、患者数も増えてきたのです。これには驚きました。10年前にその方が言っていたのはこの事だったのかと・・・。

哲学を脳髄に打ち込むことの重要性をつくづく感じている今日この頃、私の欠点を瞬時に見抜き、アドバイスをくれたその方に感謝、否、私は一流の治療家になることで恩返しをしなければならないのです。

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