病とは生きようとする力
「人間はもともと一生を健康で長生きできるように、この世に生まれてきたんだよ。でも疲れとか病気があるから人間は死なずに済んでいるんだ。疲れや病気がなければ人間なんてすぐに死んでしまうよ」
一見矛盾するような中村天風氏のこの言葉の真意は何なのでしょう。
人間は疲れを感じると体が動かなくなります。それでも無理に動かそうとすると、過労と呼ばれる状態になり、それが積み重なると病気へと進行します。
疲れというのはひとつの注意反応で、これ以上続けると危険ですよという黄信号です。ですから体の調整を行い休息をとれば体は元の状態に戻り、またそこから活動することができるのです。
病気というのは警告で、体を元の状態に大きく戻すようにという赤信号なのです。赤信号になってしまったら青信号になるまでしばらく止まらざるを得ませんから、疲労と呼ばれる黄信号のうちから体の調整を行うことが大切です。
当院には定期的に施術を受けに来られる方が多くいます。仕事上の体調管理のためとか、ピンピンコロリしたいなど、体の調整にいらっしゃる理由は様々ですが、「体調を大きく崩すことがなくなった」との声をよく頂戴します。
人間が人間らしく生きようとすれば必ず人体に歪みが生じます。その歪みを人体は疲れたり、病気になることによって恒常性(ホメオスタシス)のバランスを元に戻そうとします。その自己治癒力のお蔭で人間はすぐに死なずに済んでいるのです。
疲れや病気というものは忌み嫌うものではなく、“生きようとする力”なのです。