本来の湿布
今週は”関節が痛む”という患者さんが多く来院しました。皆さん口を揃えて「湿布とか貼った方がいいですか?」と言うので、私は「では、湿布をしましょう」と水道水で濡らしたタオルを患部に当てるのです。すると皆さん「気持ち良いです」と言ってくれます😊
湿布は”湿らせた布”と書くように昔は水で湿らせた布を当てていたのです。それが良く効いたので湿布という言葉が残っているのですが、今は便利な貼り薬へと変化してしまいました。まあ、水で濡らした布で治ってしまったら、薬屋さんは儲かりませんから仕方ないのですが・・・。
水湿布が効く理由を説明します。まず水湿布をした時は、瞬間皮膚の感覚が冷やりとします。直ちに布と皮膚の間に体温から作られる暖かい蒸気が発生し、その温度で体の内部の血が皮膚表面に集まります。すると同時に毛穴が広がり熱が放散されるので、患部の充血が冷やされ炎症が和らぐのです。
次に温かい皮膚の上に水湿布を施すと、皮膚と布の間に電磁気の流れが生じます。例えば大気中の暖気と寒気がぶつかると雷が鳴りますよね。それと同じ現象が皮膚と布の間で起こるのです。すると電気が水蒸気を分解してオゾン(O₃)という物質を増やす。このオゾンが身体の中の病的物質を燃焼し、血液をキレイにしてくれるのです。つまり、ある温度のものにそれよりも温度の低いものを接触させると電磁気が発生する。これは自然現象なのですが、この電磁気が増大すれば血液循環がとても旺盛になるのです。ですから、冷やしては温める。温めては冷やす。冷やし通しでもいけないし、温め通しでも人間の活力は弱まります。文明先進国や長寿国がいづれも四季の変化の激しい地域にあるように、間断なく変化を与えてあげる。これが人間を強くする秘訣なのです。
その点から、私は風呂に入り、温まって出る時に身体に水をかけるのです(もしやる方は最初は手足から始めましょう)。そうすると後で湯冷めが来ない、何とも言えない心地よさが来るのです。スポーツ選手などは疲労の回復を早めるために、この温冷浴をやっている人が多いですね。ただし、サウナと水風呂を繰り返すのは温度差が大きく、身体に負担となる場合がありますので、お勧めは致しません。何事もやり過ぎは毒になります。ちょうど良い塩梅を心がけましょう。