空気の尊さ
昨日、来院した患者さんに「先生は体調の悪い時どうしているんですか?」と聞かれたので、「そんな時、私はまず深呼吸をします」と答えました。
人間は数日間飲み食いしなくても死にませんが、数分間息を止めているだけで意識を失ってしまいます。一日に人間が必要とする空気の量は一万リットル以上、これだけの量を身体に入れてあげないと私たちの血液はキレイにならないのです。だからショボショボと呼吸をしている人は、血液も汚れたままですから「いつも具合が悪い」「何処どこが痛い」と言うのです。特に最近はデスクワークが多いせいか、背中が丸く顎が前に出ている姿勢の人をよく見かけます。肺が弱く呼吸も浅い典型的な姿勢ですね。
そんな患者さんに私は”深呼吸”を勧めているのですが、重要なのはまず10秒かけてゆっくり吐き出すということです。呼吸という言葉は呼(吐く方)が先で吸(吸う方)が後にきます。ですから、まず吐くことで肺の中の汚れた空気を思い切り出してください。その後吸い込めば肺の奥深くまで新鮮な空気がドバーっと入ってきます。これを気付いた時に一日数回やってみてください。
私は毎日仕事前に般若心経を唱える習慣がありますから、唱えているうちに肺の空気が入れ替わり元気が湧いてきます。そうして心身を整えた上で仕事に向かうのです。そんな私でも、初めての患者さんの施術の時には緊張し呼吸が浅くなります。その時はお尻の穴を締めて深呼吸を数回して心身を落ち着かせています。酸素がちゃんと全身に巡れば不思議と心も落ち着いてくるので助かっています。
このように空気というものは、まことに尊いものなのです。空気の中に生きている人間は空気の尊さをつい忘れてしまうものですが、健康に生きる上で空気の存在は欠くことのできないものなのです。
コロナ騒動で部屋の換気が叫ばれている今日、人間の体内にも汚れた空気を溜めることのないよう、常に呼吸を意識し生活していきたいものです。ゆっくりと深く呼吸することこそが肺を強くし、ウィルスからの自衛につながるのです。