『腸と脳』
「あの人と会うことを考えると胃が痛い」
「その話はどうも腑に落ちない」
「大事なプレゼンの前にトイレに駆け込みたくなる」
どれも脳が腸にストレス刺激を伝えていることを示す症状です。
逆に腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告もあり、「第二の脳」と呼ばれる腸が近年注目されています。
人間の腸内には兆単位の微生物がいて、脳と腸のコミュニケーションをとるという役割を担っています。
しかし現代人の腸内環境は荒れ果て、過敏性腸症候群や慢性疼痛を訴える人が増えています。
腸と脳のつながりを40年に渡って研究し続けている胃腸病学者エムラン・メイヤー氏は、その著書『腸と脳』の中で、
「腸を農場、腸内微生物を飼われる動物とみなし、どんな飼料を与えるべきか考えよう。食品添加物が多量に含まれている飼料を与えるだろうか?そう考えてみることで食事コントロールの第一歩を踏み出せるだろう。この心構えがあれば、ファストフードに手を出そうとしたときに、考え直せるようになるはずだ」と書いています。
現代人の食生活は、手間暇をかけない簡易な食事へと移り変わり、腸内微生物の餌である発酵食品の摂取量が格段に減ってしまいました。
そして今や腸内微生物の環境攪乱により、うつ病や不安障害、パーキンソン病など脳に影響が及ぶ場合があるということも解明され始めています。
人間の心身は全て脳が支配していると思ったら大間違いで、腸と腸内微生物と脳の三者が24時間365日、緊密な情報交換を行い、健康な心と身体を維持しているのです。食習慣が改善すれば腸内微生物の生活環境も変わっていきますので、エムラン・メイヤーさんの推奨する健康増進の指針を是非参考にしてみてください。
・良質な発酵食品を摂取する
・大量生産された食品や加工品は避け、なるべく有機栽培で育てられたものを食べる
・動物性脂肪を控える(赤身はOK)
・ストレスフルな時、怒っている時、悲しい時は食べるのを控える
・食事は楽しんで食べ、決して食べ過ぎない
今回のコロナ騒動は腸内環境を整えるのに又とない絶好のチャンスです。この機会にスローフードの代表とも言える”ぬか床”を始めてはいかがでしょうか。
写真は我が家の”ぬか床”です。冷蔵庫で育てていますが、微生物たちが美味しい”ぬか漬け”を作ってくれますので、ステイホームが続く日々でも、毎日ご飯がすすみます。微生物の力は偉大ですね😊