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『残心抄』

残心抄 悲天

三浦義一 40代半ばの写真
日本人の魂を歌った歌人 三浦義一、40代半ばの写真です。
「男は40歳になったら自分の顔に責任を持て」と言われますが、この写真に私は衝撃を受けました。どう生きたら、この重厚感のある顔つきに40代半ばでなるのか・・・。それが知りたくて、『残心抄 祖父 三浦義一とその歌』三浦柳著を読みました。

昭和の時代、右翼の巨頭・政界の黒幕・室町将軍と呼ばれた三浦義一の生涯を、その孫である三浦柳さんが描いています。家族として、歌人として、外から見ただけでは分かり得ない三浦義一を冷静に見つめ、自己の宿命と正直に向かい合い、見事に書き上げています。

この本を読んでいると、家族とは綺麗事では済まされないのだと思わされます。現代の表面的な仲良し家族とは違い、一昔前の家族は色々な事があっても本気でぶつかり合い、それをすべて呑み込んで本当の絆が生まれるのだと。だからといって愛情がないわけではなく、それどころかより深い愛情を登場する一人一人に感じるのです。

そして三浦義一は、どんなに夜遅く帰ってきた時でも、必ず日記をつけていたそうで、妻が見かねて「明日にしたらいかがですか」と声をかけると、必ずこう返したと言います。
「明日という日はないんぞ」
病と共に生きた三浦義一は、現代の私たちが忘れている死というものを常に考え、一日一日を大切に生きてきたからこそ、40代半ばにしてこの重厚感を醸し出したのでしょう。

三浦柳さんは三浦義一の真実は歌に遺されていると言います。
昭和32年歌を詠むことについて三浦義一はこう遺しています。

歌はあそびや単なる日記ではない。命をみがき抜く修行と信ずる。
敷島の道である。従って苦行道である。
いのちそのものである。
一念一念、死に処する工夫である。
一作、一作、遺書である。
真剣勝負である。
おろそかなことで歌など片腹いたい。
ほんとうに私を棄て、恐れ畏みつくさずしては歌は生まれない。

日本人の魂を歌った歌集 『悲天』三浦義一著が平成に復刊され、現代を生きる私たちも三浦義一の魂に触れることができるようになりました。命がけで詠んだ歌を通して、私も日本人としての魂を養いたいものです。

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