養生について【2】
新型コロナウイルス感染者が都市部で急速に増加しています。一方、地方ではまだ感染者が出ていない県もあり、都市部は便利さと引き換えに大きな代償を今払っています。
貝原益軒の「養生訓」にもこんな一節があります。
山中の人は命長し。古書にも山気は命多しとあり。山中の人は元気を閉じかためて裡に保ち漏らさず。故に命長し。
山中の人は人の交わり少なく、閑(しずか)にして元気減らさず。万乏しく不自由なる故、自ずから欲少なし。独り家にいて閑に日を送り、古書を読み、香を焚き、四季の好景を玩び、酒を微酔に飲み、園菜を煮るも皆是心を楽ましめ、気を養う助なり。
大意としては、都会より地方の方が長寿によろしい。それは簡素で欲望の少ない生活が元気を蓄えるからである。独りを楽しむのは気を養う助けになるからとてもよいと。
私は東京で生活していますが、仕事と読書の閑な日々を送り、食事は妻の手料理、そして少々の酒と煙草を嗜みます。
患者さんと仕事関係者以外はほとんど人とも会わず、独りを楽しむライフスタイルなので、今回の様々な自粛や行動制限も何らストレスに感じず、いつも通りに過ごしています。
今回のコロナウイルス騒動を機に、世の中は貝原益軒の言う「欲少なく閑に独りを楽しむ生活」に転換しなければなりませんね。転換出来なければ世界はまた同じことを繰り返すでしょう。